牧場直営のミルク工房カフェ。若里ジャージーミルク工房ARVO

店名:若里ジャージーミルク工房ARVO
住所:〒093-0532 北海道常呂郡佐呂間町若里498-2
Web:https://www.instagram.com/arvojersey_lifes
営業時間:11:00~16:00(土曜日、日曜日、祝日のみ営業)
定休日:平日
(コロナウィルスの影響で、営業時間・定休日を変更している場合があります。)

廃校を利用したジャージーミルクの専門店

ARVO(アルボ)は、ジャージーA2ミルク専門店です。平日は製品作りの工場として、週末は直売所やカフェとして営業しています。10年も前からジャージー牛の美味しさを普及させるために製品化のタイミングを伺っていた(現中谷牧場)代表が、この廃校となった建物を借りて2021年8月に開店を迎えました。今年は「なんとか1周年を迎えることができたなぁ」という思いです。
当初は2〜3頭程度から始まったジャージー牛の飼育も10年以上をかけて年々増頭し、今は100頭を越えるまでになりました。ここでの開店はそういった安定した乳量確保の実現と施設活用のお声がけを頂いたタイミングと、当時札幌で嫁と暮らしていた私に「一緒にやらないか?」と義父(代表)が声をかけてくれたことがきっかけなんです。
札幌ではずっとスキーをしていたので、食品や酪農、マーケティング、経営…、全く意味不明の世界へ飛び込んだんですよ。なので当時はできるかどうかわからないのに佐呂間町に来たというのが正直なところですね。ですけど声をかけていただいた26歳の時に結婚や子どもができたりと大きなライフイベントがあって、僕自身ちょうど将来を考えるタイミングでもあったことが重なって、こっちにくる決心をしました。

実際に「体験」してほしい最高峰のポテンシャル

この辺の地域一帯は一次産業が盛んでとても経済力のある地域っていう印象があります。
僕は札幌という人の多い地域からこっちに来たんですが、こっちでの生活は、とても居心地の良さを感じています。よく地方の少子高齢化、過疎化、限界集落なんてネガティブな話題を耳にしがちじゃないですか?僕からすると、佐呂間町はそれが強みだと感じています。辺り一帯が農地・漁地であるこのフィールドは、都会と比較してどちらが生活に直結して人間の営みに必要かと言われると、圧倒的に地方の生産力が重要だと思うんです。
この地域は他の地域と比較しても自給率も高いので、そういう意味での生活水準はあきらかに都会と違う点だと感じているんです。
野菜、お肉、牛乳、海産物、なにをとっても最高峰。生産地なので、安くて新鮮なものが当たり前に出てくる。そこにポテンシャルの高さを感じるんです。だからこそ、うちでもそういった美味しいものが提供できるし、東京で味わうよりもぜひお店に来てこの美味しさを実感して欲しいと思うのです。もちろん遠方への地方発送もご対応いたしますが、まずはここで「体験」してもらうことを大切にしていて、体験して良さを知ってもらえたらリピートしてもらえるくらいの自信をもって提供しています。そしてそんな地方の最高峰のポテンシャルに負けないよう日々頑張っています。

自社完結でしっかりコントロールされた酪農体制

私たちの商品の美味しさの秘密は、牧場での牛の飼育スタイルにあります。350ヘクタールの広大な土地を強みに堆肥を畑に還元し、畑作連携で循環を構築する「循環型酪農」、牛に与える粗飼料は自社生産・収穫で「粗飼料自給率120%」、細やかにコントロールされた「自社繁殖・飼育管理」の実現など、自社完結の徹底した牛の飼育は国内でもあまり類を見ない取り組みだろうと思います。
とくに美味しさに直結する牛の飼料となる草は、若く背丈の短い柔らかい状態で刈り取って牛に与えます。背丈が大きくなるほど硬く、病気にもなりやすい飼料は収量は確保できますが、栄養価的にもあまりいいものではありません。
さらに餌にはコーンを加えています。そうすることでジャージ牛の旨味に合わせてコーンの甘味、風味が感じられるのが特徴ともいえます。なのでどこよりも早く草を刈り上げて餌からなにまで自社完結でしっかりコントロールすることで高い乳質維持し続けているし、そこがうちのこだわりでもあって、牛乳の味に現れる部分だと思います。今こうして六次化に取り組めているのも、無駄のない管理体制と経営方針で代表が努力してきた結果だと思うので僕自身、感謝していますし、そういう思いの詰まった牛乳といえると思います。

美味しさだけじゃない。大切なのは「作る意味」

そうして出来上がった製品は、牛乳、ドリンクヨーグルト、プリン、ジェラート15種などが店頭でお楽しみいただけます。その他にも業務用アイスなど道内を中心に商品展開しています。
今後の課題は、持続性のある事業にしていくことです。そのために必要な商品を今後どう展開していくかは色々と考え中です。僕的には「美味しいスイーツを出そう」というイメージはあまりなくて、牛乳廃棄などの問題にアプローチできるような取り組みをしていきたいんです。僕自身小さい頃は牛乳を飲むことはあまり好きではなかったんです。でもこれからはコップに入れて「飲む」必要はなくて、例えばタブレットで必要な栄養素を「食べる」でもいいと思っているんです。そんなことを考えながら今まさに商品開発に取り組んでいます。大切なのは作る意味だと思っていて、話題の美味しいプリンよりも、世の中に本当に意味のあるものを生産するポジショニングを大切にしていきたいんです。
新しい取り組みなのでなかなか理解を得られなかったりすることもあると思いますが、その先には良いことしかないと思っていて、すでに翌年以降に向けて着々と準備を進めているんです。そんな取り組みを今後は国内外問わずチャレンジしてみたいですし、まずはこの美味しさを多くの人に足を運んでいただき体験していただきたいですね。
佐呂間町へお越しの際はぜひ若里ジャージーミルク工房ARVOへ。